REPORT
佐藤勝彦のレポート:VibeSlide v4 フル版とライト版、どれだけトークンを使い、何ができるのか
TANREN株式会社 佐藤勝彦(VibeSlide の作者)|2026年10月4日|実測はすべてこの日に私の Mac で取ったものです
結論から言います。軽く速く伝えるなら、ライト版を Sonnet 5.5 で。表現の上限を取り払って、動くパワポから解説動画まで作り切るなら、フル版を Opus 5.5 と Codex で。フル版はそれだけトークンを使うので、Claude Max の契約が実質要ります。でも「やれることがすごい」。それがフル版を売る理由です。
1. 実測:同じメモ 1 枚から、何がどれだけで出てくるか
入力は、VibeSlide-lite の紹介メモ 1 枚(2,228 バイト)。同じ入力を、ライト版は Sonnet 5.5 に、フル版は Opus 5.5 に渡し、Claude Code の非対話モードで最後まで走らせました。費用は Anthropic の定価換算です。サブスクリプション(Pro・Max)の範囲ではこの金額は請求されません。
| ライト版(Sonnet 5.5) | フル版(Opus 5.5) | |
|---|---|---|
| できたもの | HTML スライド 8 枚+カンペ(台本・ルビ・時間管理) | PowerPoint 10 枚(クリックの動き・Morph・ノートの台本)+検査+クリックごとの撮影+カンペ HTML |
| 所要時間 | 1 分 4 秒 | 2 分 51 秒 |
| AI の往復 | 8 回 | 22 回 |
| 出力トークン | 7,476 | 14,764 |
| 入力トークン(うちキャッシュ読み) | 314,564(258,314) | 1,260,462(1,193,599) |
| キャッシュ読みの割合 | 82% | 95% |
| 定価換算 | 0.35 ドル | 1.07 ドル |
読み方
- 出力トークンは、ライト版が約半分。 ライト版が書くのは
deck.json(1 枚あたり数行)だけで、図・動き・カンペは同梱のエンジンが描きます。フル版は PowerPoint の仕様(YAML)に加えて、検査・撮影・カンペの工程を AI が回すので、往復が 22 回に増えます。 - 入力の大半はキャッシュ読み。 どちらも参照資料を同じ順で読むので、プロンプトキャッシュが効きます。ライト版で 82%、フル版で 95% がキャッシュ読み(定価の 1/10)です。フル版の入力が 126 万トークンと大きいのは、工程が多く、同じ資料を往復のたびに読み返しているからで、その 95% は安い読み方です。
- 1 本あたりの費用は、ライト版 0.35 ドル、フル版 1.07 ドル(定価換算)。 ライト版は Claude Pro(月 20 ドル前後)で 1 日に数本、無理なく作れる量です。フル版は資料だけなら Pro でも作れますが、挿絵・撮影・カンペ・動画まで 1 日に何本も作り切る日は、上限に当たります。
2. 契約は何が要るか
| ライト版 | フル版 | |
|---|---|---|
| Claude | Claude Pro で十分(Sonnet 5.5) | Claude Max(100 ドル/200 ドル)が実質必要(Opus 5.5)。資料だけなら Pro でも作れる |
| ChatGPT(Codex) | 不要 | 挿絵を描くなら必要(Codex CLI の image_gen・GPT Image 2.5) |
| そのほか | Node.js。ルビは Python+fugashi(任意) | Python・Node.js・ffmpeg。解説動画の声は各社 API(Gemini・ElevenLabs・Fish Audio)か手元の Qwen3-TTS |
はっきり書いておきます。フル版でフルフルに eラーニング動画まで作ったときのコストパフォーマンスを考えると、Max の 100 ドル契約か 200 ドル契約は必須要件です。それでも売るのは、やれることが段違いだからです。動くパワポ、挿絵、台本、カンペ、AI の声とアバターの解説動画、SCORM。これが「頼むだけ」で一式そろう。人が作れば数日の仕事です。
3. なぜ Codex の契約が要るのか
挿絵のためです。VibeSlide は Codex CLI を呼び出し、内蔵の image_gen(GPT Image 2.5)で挿絵を描かせています。文字を描かせず、資料ごとの色(パレット)と構図を指定して、表紙・章扉・締めの絵を 1 枚ずつ生成します。相当に微細な絵が出ます。VibeSlide はその絵を回収して PowerPoint に差し込み、解説動画と HTML のプレーヤーにも結合して、ビジュアライズしています。
画像の生成は、ChatGPT のサブスクリプション枠の中で行います(API の従量課金に切り替えることもできますが、その場合は枚数と見積もりを先に出して、承諾を得てから動く作りです)。だから、挿絵まで使うなら ChatGPT(Codex)の契約が要ります。挿絵を使わないなら、Codex は要りません。
4. モデルの「センス」について:いまは Claude 陣営が強い
スライドの構造を組み、クリックごとのモーションを設計し、SVG で図を描く。この「ビジュアライズするセンス」については、2026 年 10 月の時点で、Opus 5.5 と Sonnet 5.5 が全面的に勝っていると感じています。動きの付け方が話す順に合っている、SVG の図が崩れない、色と余白の判断が外れない。モーショングラフィックスの性能を問う場面でも、SVG の図解でも、同じ感想です。
Codex(GPT-6.1 Sol、Astra)も VibeSlide を動かせます。ただ、ビジュアルの判断は Claude のほうが一段上です。Codex が 6.1、6.2、6.3 と進化していけば同等のレベルになると見ていますが、現時点では Claude 陣営のほうが強い。だから VibeSlide は「構造と動きは Claude、絵は Codex」という組み合わせを推奨しています。GPT-6 と GPT-5.x シリーズは、VibeSlide の用途では推奨していません。
5. ライト版は「低コスト・低負荷で、意味が伝わる」版
ライト版の設計思想は、AI に図を描かせないことです。Sonnet 5.5 が決めるのは、見出し、使う図の型、図に入れる言葉、動きの向き。描くのは同梱のエンジン(76 型+情景の 77 型目)で、動きもカンペも同じエンジンが受け持ちます。だから出力が短く、参照資料のキャッシュが効いて、1 分前後で 1 本できる。
「低コスト・低パフォーマンス」と私は言っていますが、意味は落ちません。関係・順番・量は図で、人や場面は絵文字の情景(scene)で、それでも足りなければ SVG で人や物を描く。写真は使わない。それでも、社内共有やレポート、登壇の下書きには十分です。登壇用のカンペ(ルビ・30分ブロックの時間管理・観客用ウィンドウ)は、フル版と同じ中核が入っています。
6. 使い分け
- 社内共有、勉強会、レポート、登壇の下書き → ライト版(Sonnet 5.5)。1 本 1 分前後、定価換算 0.3〜0.5 ドル。
- 経営会議の提案、顧客向けの勝負の資料、eラーニング教材 → フル版(Opus 5.5+Codex)。動くパワポ、挿絵、カンペ、解説動画まで。
- 迷ったら → フル版。ライト版が同梱されているので、軽い資料はそちらで作れます。
7. 計測の条件
- 日時:2026 年 10 月 4 日。Mac(Apple シリコン)、Claude Code 2.1.286、非対話モード(
claude -p --output-format json)。 - ライト版:
claude-sonnet-5-5。頼んだ内容は「input.md を VibeSlide-lite でスライドにして。カンペも付けて。検査はビルドの警告が無いことの確認まで」。 - フル版:
claude-opus-5-5。頼んだ内容は「input.md から VibeSlide で 10 枚前後の提案資料を作って。挿絵と動画は行わず、deck.yaml → build → lint → preview --steps → make_presenter まで」。 - トークンと費用は Claude Code が返す使用量(usage)と定価換算(total_cost_usd)をそのまま載せています。